第3回世界の中の日本のジェンダー

2014.04.04

椎野信雄

 世界の中の日本のジェンダーに係る調査データについても、日本の評価の高いものと低いものがあります。第1回で紹介したUNDP(国連開発計画)のGEM(ジェンダーエンパワ−メント指数)で、0.557の日本のランキングは、93ヶ国中54位と下位であったが、同じくUNDPのHDI(人間開発指数)(人間らしい生活水準など人間開発の度合いを示す指標)で日本は8位と上位を占めているのと同様に、(ジェンダー不平等を調整したHDIとしての)GDI(ジェンダー開発指数)も13位であり、比較的上位にあります。ところが、世界経済フォーラム(民間団体)が2008年に発表した「ジェンダー・ギャップ指数」(世界各国130ヶ国のジェンダー平等の度合の指標)で、第1位はノルウェ−で、以下フィンランド・スウェーデン・アイスランド・ニュ−ジ−ランド・フィリピン・デンマ−ク・アイルランド・オランダ・ラトビアであり、日本は98位となった。(2007年に91位、2006年には79位だった。)

 このジェンダー・ギャップ指数は、経済参加・教育・政治的エンパワーメント・健康の4分野の評価から成り、日本は経済参加97位、政治的エンパワーメント94位、教育69位、健康37位であった。経済参加とは、経済面での収入や昇進などの男女間格差の度合いであり、政治参加とは女性国会議員の割合のことです。GEMでの指摘と同様に、日本では女性管理職の割合が低く(約10%)、年齢階級別女性労働力率のグラフが30才を中心に低下するM字型曲線をまだ描いており、30才以後の再就職もパートタイム労働が多く、女性の平均賃金は男性の約6割なのです。また日本の衆議院議員に占める女性の割合は9.4%で、世界全体の17.7%と比べても低い水準なのです。

 さてジェンダー・ギャップ指数やジェンダー・エンパワーメント指数の「ジェンダー」とは、何なのでしょうか。ジェンダーとは、簡単に説明すると、政治・経済などの社会的要因と相関した「女や男などの」変数のことであり、単に自然な身体的男女(=性別)を指しているのではないのです。これまで男女とは、男の体や女の体から判断区別される性別概念であり、身体を根拠として女らしさや男らしさがあり、絶対普遍の区別だと素朴に信じられてきました。しかしそうではなく社会的・歴史的・文化的変数として「女や男など」を把握する視点がジェンダーなのです。

 UNDPの2007/2008年のGEMランキングの第1位はノルウェーで、以下スウェーデン・フィンランド・デンマ−ク・アイスランド・オランダ・ベルギー・オーストラリア・ドイツ・カナダです。このGEMランキングのベスト10の諸国を眺めてみると、これらの諸国は前回に見たデータランキングでも上位に入っていることが見て取れます。GEMベスト10の諸国の、「HDI」「国民一人当たりのGDP」「ジニ係数(格差の小ささ)」「幸福度調査」「国民の幸福度」「国際競争力」のランキングを示してみます。

  1. ノルウェー (2,2,5,19,19,13)
  2. スウェーデン (6,9,3,14,7,9)
  3. フィンランド (11,10,11,25,6,17)
  4. デンマーク (14,6,1,1,1,5)
  5. アイスランド (1,3,?,4,4,7)
  6. オランダ (9,11,24,8,15,8)
  7. ベルギー (17,15,4,20,28,24)
  8. オーストラリア (3,19,45,21,26,12)
  9. ドイツ (22,18,14,35,35,16)
  10. カナダ (4,17,36,9,10,10)

です。
ちなみに54日本(8,23,2,43,90,24)なのです。GEMベスト10の諸国は注目されている他の指標ランキングでもベスト20以内にはほぼ入っている傾向があります。これらのことは何を意味しているのでしょうか。
 これらのことは、おそらくGEMとその他の指標の相関関係が強いことを意味しているので
しょう。たとえば先程見た「ジェンダー・ギャップ指数」が経済・政治・教育・健康の関数であったように、「国民の幸福度」は医療福祉・生活水準・基礎教育・経済要因の関数であり、WVSの「幸福度」は(生き方の)選択の自由・男女平等(の推進)・(マイノリティへの)寛容さの関数だったのです。経済的富(豊かさ)だけが決定要因ではないのです。

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